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特別支配株主の株式等売渡請求

スケジュール事例

 特別支配株主の株式等売渡請求は、26年改正の執行以降、主流となっているキャッシュ・アウト手法一つです。

 特別支配株主の株式等売渡請求という制度は、対象会社の総株主の議決権の10分の9以上を有する株主である特別支配株主が、対象会社に対して一定の事項を記載した通知を行った場合、対象会社が承諾や売渡株主に対する通知・公告等の手続を経ることによって、特別支配株主が少数株主の有する株式等の全てを少数株主の個別の承諾なく、金銭を対価として取得し、キャッシュ・アウトを行うことを可能にする制度です。

 主総会に関する手続きの省略が可能な為、キャッシュアウトの手法の一つである全部取得条項付種類株式の場合、株主総会の特別決議が要求されていたこととは異なり、迅速なキャッシュアウトが可能となりました。

株式併合との比較

特別支配株主の株式等売渡請求のメリット

  • 対象会社の株式総会特別決議および対象会社の全取締役の同意が必要なく、対象会社の手続きに要する期間が短いこと
  • 端数処理手続きが不要であること
  • 任意放棄を期待できない新株予約権を強制的に取得することが出来ること
  • スクイーズ・アウト実施者に端数部分が生じないため、株式併合の場合で、スクイーズ・アウト実施者の端数部分について譲渡損益を回避できること

特別支配株主の株式等売渡請求のデメリット

  • 90%という他の手法に比べて厳しい議決確保保有要件が課されていること
  • 敵対的な新株予約権利者がいる場合で、対象会社が有価証券報告書提出会社である場合には、公開買付規制との関係で新株予約権売渡請求もあわせて行うことが必須となり、新株予約権売渡請求に対して敵対的な新株予約権者による差止請求が行われることにより、株式の売渡請求部分も含めた全体を差し止めされてしまうおそれがあること

  • スクイーズ・アウト実施者がスクイーズ・アウトの実施後に存続させたい株主がいる場合には、いったんすべて特別支配株主に譲渡を行った上で再度株式を売り戻す必要が生じる為、税務上非効率になる可能性があること

  • 少数株主が争ってきた場合、特別支配株主の株式等売渡請求の場合、スクイーズ・アウト実施者自身が裁判手続に関与する必要が生じる場合があるなど、スクイーズ・アウト実施者自身に裁判手続の直接的な負担が生じる可能性があること

全部取得条項付種類株式との比較

特別支配株主の株式等売渡請求のメリット

  • 対象会社の株主総会特別議決および対象会社の全取締役の同意が必要なく、対象会社の手続に要する期間が短いこと
  • 端数処理手続きが不要であること
  • 任意放棄を期待できない新株予約権を強制的に取得することができること
  • スクイーズ・アウト実施者に端数部分が生じないため、全部取得条項付種類株式の場合で、スクイーズ・アウト実施者以外の者が端数合計の任意売却における買い手となる場合に生じるスクイーズ・アウト実施者の端数部分についての譲渡損益が回避できること
  • 対価の金額等を争う株主と争わない株主における課税関係が同じになるため、(対価の金額に不満はないのに税務上の効率性を追求して)あえて争う手続をとるといった形で株主の行動にバイアスが生じてしまう可能性が小さいこと
  • 一株未満問題のリスクが生じないこと

  • 全部取得条項付種類株式の場合には、取得価格決定の申立てを受けた結果、分配可能性額を超える金銭を反対株式に交付することとなった場合には、会社法第461条違反であるとして全部取得自体の効力が無効であるとの議論があり得る上、会社法第461条第1項第3号に基づく法的責任が生じると解されるおそれがあるのに対し、特別支配株主の株式等売渡請求の場合は分配可能額規制は関係ないこと

特別支配株主の株式等売渡請求のデメリット

  • 90%という他の手法に比べて厳しい議決確保保有要件が課されていること
  • 敵対的な新株予約権利者がいる場合で、対象会社が有価証券報告書提出会社である場合には、公開買付規制との関係で新株予約権売渡請求もあわせて行うことが必須となり、新株予約権売渡請求に対して敵対的な新株予約権者による差止請求が行われることにより、株式の売渡請求部分も含めた全体を差し止めされてしまうおそれがあること

  • スクイーズ・アウト実施者がスクイーズ・アウトの実施後に存続させたい株主がいる場合には、いったんすべて特別支配株主に譲渡を行った上で再度株式を売り戻す必要が生じる為、税務上非効率になる可能性があること

  • 少数株主が争ってきた場合、特別支配株主の株式等売渡請求の場合、スクイーズ・アウト実施者自身が裁判手続に関与する必要が生じる場合があるなど、スクイーズ・アウト実施者自身に裁判手続の直接的な負担が生じる可能性があること

  • 有価証券報告書提出義務の消滅が、(テクニカルな工夫を施さなければ)スクイーズ・アウトの効力の発生後ただちには生じないこと

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2024年12月19日
2024年12月18日

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